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派遣禁止業務とは|建設・医療・警備など業種別禁止の理由や除外業務を解説
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派遣業務には「適用除外業務」という禁止業務があります。主に、5つの業務で派遣が禁止されていますが、例外も存在します。本記事では、派遣禁止業務について解説します。禁止業務に派遣した場合の罰則や他に注意したい派遣に関する情報も解説しているため、ぜひ参考にしてください。
目次
派遣禁止業務とは
正式名称は「適用除外業務」といい、労働者派遣法によって定められている「派遣では働けない仕事」を指します。労働者派遣法改正の1999年改正にて、派遣業務が原則自由化された一方、派遣スタッフに任せてはいけない禁止業務が定められました。
労働者派遣法で指定されている5つの禁止業務
職務内容の専門性や危険性の高さなどから、労働者派遣法で禁止されている派遣業務は「港湾運送業務」「建設業務」「警備業務」「医療関連業務」「士業」の5つです。それぞれの業務の特徴などについては、下記で細かく解説します。
1.港湾運送業務
港湾運送業務の特徴は、次のとおりです。
港湾運送業務とは
港湾運送業務とは、港湾における貨物の積み込み・積み下ろし、移動・固定などを行うことを指します。具体的には、港湾地域内での貨物運送、倉庫での貨物の梱包・ピッキングなどを行います。
6大港(東京、横浜、名古屋、大阪、神戸および関門)での港湾運送業務は、派遣禁止業務に該当します。6大港以外にも指定港湾があるので、事前に確認しておく必要があります。(労働者告示第139号)ただし、事務業務などの現場外での業務は、派遣禁止業務には該当しません。
禁止とされる業務事例
派遣禁止業務に該当する業務事例は、次のとおりです。
・湾岸と船舶間での貨物を積み込み・積み降ろし
・船舶に積まれた貨物の移動や固定、荷造り・荷解き、梱包・袋詰・包装の修理
・船舶や湾岸で貨物の積み降ろし場所の清掃
・船舶運送の貨物積み込み・積み降ろし場所と港湾倉庫間の貨物運送
・湾岸倉庫での貨物積み込み・積み降ろし
・港湾倉庫内での貨物の荷解き・仕分け
2.建設業務
建設業務の特徴は、次のとおりです。
建設業務とは
建設業務とは、建設土木現場や道路、橋などにおける建築資材の組み立て、運送、警備などの業務やその準備を指します。ただし、現場で直接作業をしない建設現場の事務員やCADオペレーター、施工管理などは派遣による就業が認められています。
禁止とされる業務事例
派遣禁止業務に該当する業務事例は、次のとおりです。
・建築現場の資材運搬や組み立て
・工事現場での掘削や埋め立て、資材の運搬、組み立て
・コンクリートの合成や建材加工
・資材や機材の配送
・壁や天井、床の塗装や補修
・建具類の固定や撤去
・電飾版や看板の設置や撤去
・配電や配管工事、機器の設置
・現場の入り口開閉や、車両出入りの誘導・管理
・現場の整理や清掃
・大型仮設テント・舞台の設置
・仮設住宅の組み立て
・建造物や家屋の解体
3.警備業務
警備業務の特徴は、次のとおりです。
警備業務とは
警備業務とは、公共施設や商業施設などで事故の発生を防止する仕事を指します。主に、現金や高額な品物の盗難を警戒・防止します。別の業務で派遣されていても、不審者に声をかける行為などが複数回行われると、警備業務とみなされる恐れがあるため、注意が必要です。
禁止とされる業務事例
派遣禁止業務に該当する業務事例は、次のとおりです。
・会場・店舗入口での手荷物検査
・不審者への注意や質問
・建造物内・会場内の巡回や巡視
・混雑する駐車場などの場所の整理や誘導
・犯罪者の追跡・捕獲
・運搬中の金品や貴重品の監視
・防犯通報に対して待機する
・無人の時間帯・状態時の常駐
・警備室の受付窓口など施設の常駐
4.病院・診療所などにおける医療関連業務
病院・診療所などにおける医療関連業務の特徴は、次のとおりです。
医療関連業務とは
医療関連業務とは、病院や診療所、介護老人保健施設、介護医療院、医療を受けるものの居宅で行われる業務を指します。
ただし、医療事務などの施術がない医療関連業務であれば、派遣による就業が可能です。社会福祉施設(養護老人ホームなど)での看護師業務は、派遣禁止業務に該当しません。
禁止とされる医療関連業務の例
派遣禁止業務に該当する医療関連業務の例は、次のとおりです。
・医師・歯科医師
・薬剤師
・保健師
・助産師
・看護師・准看護師
・歯科衛生士
・歯科技工士
・診療放射線技士
・臨床検査技師
・理学療法士
・作業療法士
・視能訓練士
・臨床工学技士
・義肢装具士
・救急救命士
・言語聴覚士
・管理栄養士の業務
5. 弁護士・社会保険労務士などの士業
弁護士・社会保険労務士などの士業の特徴は、次のとおりです。
士業とは
士業(しぎょう)とは、高度な専門資格が必要な職業の通称です。職務上の必要から、住民票や戸籍謄本などの請求が認められている8つの職業は8士業と呼ばれており、関連する業務は派遣禁止業務に該当します。ただし、公認会計士、税理士、弁理士、社会保険労務士、行政書士などの一部の業務では、派遣による就業が可能です。
禁止とされる士業の例
派遣禁止業務に該当する士業の例は、次のとおりです。
・弁護士
・税理士
・外国法事務弁護士
・弁理士
・司法書士
・社会保険労務士
・土地家屋調査士
・行政書士
・公認会計士
派遣禁止業務のうち例外となる業務
派遣禁止業務のなかには、例外として派遣業務が可能となるケースがあります。ここでは、派遣禁止業務のうち例外となる業務について解説します。
派遣禁止業務の例外:医療関連業務
医療関連業務において、以下の場合は派遣業務が可能です。
・紹介予定派遣
・病院・診療所以外で行われる業務
・産前産後休業・育児休業・介護休業中の労働者の代替業務
・へき地・離島の病院や地域医療の確保のため都道府県(医療対策協議会)が必要と認めた病院などにおける業務
派遣禁止業務の例外:士業
士業では、一部業務のみ例外的に派遣が認められている業務があります。
・公認会計士:派遣元が監査法人で監査証明業務を行わない場合
・税理士:派遣元が税理士および税理士法人以外で税務書類を作成する場合
・弁理士:派遣元が特許業務法人以外でのコンサルティング業務の場合
・社会保険労務士:他の開業社会保険労務士または社会保険労務士法人を派遣先とする場合
・行政書士:行政書士または行政書士法人が派遣元となり、他の行政書士または行政書士法人を派遣先とする場合
派遣禁止業務が設定された理由と背景
現在では、派遣による就業に関して、いくつかの理由により派遣禁止業務が設定されています。ここでは、派遣禁止業務が設定された理由とその背景について解説します。
専門的な知識やスキルが必要
派遣禁止業務には、専門的な知識やスキルが必要な業務が含まれています。とくに、医療関連業務はチームを形成して医療行為を行います。「人の生命を預かる」業務ではチーム間の意思疎通が必須であり、多くの専門的な技術や知識が要求されるチーム医療に派遣業務は不適当であるとされています。
派遣の形態(他人から指揮命令を受ける)にそぐわない
派遣禁止業務のなかには、派遣の形態にそぐわない業務もあります。とくに、士業の場合は、業務委託に基づく独自の権限で業務を行うため、指揮命令を受けることはありません。そのため、指揮系統が必要な派遣に適しておらず、派遣業務から除外されています。
労働者派遣法以外の法律で管理されているため
派遣禁止業務のほとんどは、労働者派遣法以外の法律で管理されているため、派遣業務として適していません。労働者派遣法では、派遣業務以外にも禁止事項が設定されています。
労働者派遣法で定められている禁止事項
ここからは、労働者派遣法で定められている禁止事項について解説します。
注意したい禁止事項
とくに注意したい禁止事項は、次のとおりです。
・日雇派遣の原則禁止
・二重派遣の禁止
・離職労働者の1年以内受け入れ禁止
・派遣先企業による派遣スタッフの特定行為(面接など)の禁止
・派遣先事業所単位と派遣労働者個人単位でそれぞれ3年を超えた派遣受け入れの禁止
派遣禁止業務に従事させたときの罰則
労働者派遣法には4段階の罰則が規定されており、派遣禁止業務について労働者を派遣した場合は、2番目に重い罰則である「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」が適用されます。また、届出を怠り、虚偽の陳述や報告をした場合は「30万円以下の罰金」が適用されます。
まとめ
派遣禁止業務とは、業務に対する技術・知識の必要性や業務の特性上の理由などによって、派遣として就業できない業務を指します。派遣禁止業務は、港湾運送業務、建設業務、警備業務、医療関連業務、士業の5つです。
ただし、派遣禁止業務のなかには、例外的に派遣による就業が可能な業務が存在します。派遣禁止業務や例外となる業務については、労働者派遣法に定められており、派遣禁止業務に派遣した場合には、重い罰則が課せられる恐れがあります。後々のトラブルを回避するためにも、派遣会社だけでなく、労働者自身も派遣禁止業務について知っておきましょう。
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