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派遣法 2022年05月23日

派遣法改正の歴史を振り返る!2021年までを徹底解説

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派遣労働者を守るための法律である派遣法は、その形態の複雑さや派遣にまつわるトラブルへの対応などにあわせて度重なる法改正を繰り返してきました。今後も注目される働き方のひとつである派遣労働に関する理解を深めるためにも、今回は法律の概要や法改正の経緯を一から解説していきます。

 

派遣法の変遷を知ることで、派遣会社が取るべき対応もおのずと明らかになるはずです。

派遣法とは?

派遣法は、正式名を「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」といい、労働力供給事業である派遣事業が適正に行われ、より多くの雇用機会が得られることや、派遣社員が雇用や福祉を守られた上で安心して働くことができるようにするために1986年に誕生しました。

派遣法が施行されるまでは、人材派遣は労働者供給事業として禁止されていましたが、雇用機会確保のために専門性の業務に限定した上で解禁されたのが誕生のきっかけです。

2007年までの改正

まずは、派遣法の誕生から2007年までの改正内容について、順に見ていきましょう。

1996年の法改正

1986年7月の施行当初は、労働者派遣ができる業種が、ソフト開発や財務処理、建設設備運転など13業種に限定されていました。その年の10月には3業種が加えられ16業種へと拡大し、1996年の法改正時にはその数が更に増え、26業種へと拡大しました。

 

これは、1990年代のバブル崩壊による不景気の影響により非正規雇用者の登用を希望する企業が増えたことで、派遣業務拡大を見込んだ国側が規制を緩和するに至ったという経緯があります。業種は、いずれも専門知識や技術が必要となる内容に限定されています。

1999年の法改正

派遣業への注目度はさらに増し、人材派遣業の更なる拡大を狙いとして、1999年の法改正時にはこれまで指定されていた派遣業種が原則として自由化されました。

 

つまり、これまでのように派遣を認める業種を指定するのではなく、港湾運送や建設、警備など禁止をする業務を設定する、いわゆる“ネガティブリスト化”へ変更になったということです。

 

ただし、これまでに指定されていた26業種については、政令26業種として3年間、新たに認められることになった業種については1年間の期間制限が新設された点にも注意が必要です。

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2000年の法改正

前年度の法改正により業種の指定が撤廃されたことで、人材派遣はさらに活発に実施されるようになりました。これを受けて、2000年の法改正時には、直接雇用を前提として一定期間を派遣社員として就労し、一定期間が過ぎた後は派遣先企業・派遣労働者が合意した後に直接雇用が実施される「紹介予定派遣」が解禁される運びとなりました。紹介予定派遣が実施されることで、派遣先企業は直接雇用前に派遣労働者の働きぶりを確認することが可能となるため、採用後の労使トラブルを未然に防ぐ効果が生まれました。

2004年の法改正

2004年の法改正により、これまでにも希望が多くみられたたものの、禁止業務として定められていた「製造業務」に関する派遣が、1年の期限付きで認められるようになりました。また、1999年の法改正で定められた政令26業務に対する3年間の期間制限は廃止されました。

2006年の法改正

医療業務に関する派遣のニーズが高まっていることを受け、2006年の法改正では、「医療関係業務」の派遣が一部の要件を満たした場合のみ解禁の運びとなりました。

 

具体的には、産前・産後休業や育児休業、介護休業を取得している社員の代わりとして医療関係業務の派遣を実施することと、人材の少ないいわゆる僻地を就業場所とする医療関係業務の派遣を実施することが認められています。

2007年の法改正

2007年に行われた法改正では、2004年改正で「製造業務」に関する派遣が認められた際に設けられていた期間制限の“1年間”が、最長“3年間”へ延長されることになりました。製造業務での派遣業がより活発となるきっかけとなった法改正になります。

2012年の規制強化について

 

2012年度の法改正は、これまでと比較すると大規模な変更が多くみられる改正となります。

 

これは、リーマンショックによる不景気の影響により、特に経営に苦しむ製造業における突如とした派遣切りや雇止めが行われたことで、苦しむ派遣労働者が増加したことや、違法派遣の実施が社会問題化していることが影響し、派遣労働者を守るために法改正の流れへと進んだことがきっかけです。

 

このことは、派遣法の正式名がこの年に変更された点にも表れています。それまでの名称である「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」より、新たに「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」というように、派遣労働者を守るための表記へと変わりました。

 

派遣元企業に対する改正内容としては、主に次の内容が挙げられます。順を追って見ていきましょう。

日雇派遣の禁止

日雇派遣は、その雇用形態の特性により労働者の雇用管理の責任が思うように果たされず、労災の原因となるケースが多々みられました。そこで、雇用期間30日以下の短期での日雇派遣は原則として禁止される運びとなりました。ただし、ソフトウェア開発や事務用機器操作など、政令で定める18業務については禁止対象から除外されます。また、60歳以上の者や学生、副業者、主たる生計者ではない者についても例外として日雇派遣が認められます。

グループ企業派遣に関する規制

派遣元企業の子会社や関連会社など、同じグループ内の事業主が派遣先企業の大半を占めるような場合は、同一団体による派遣と扱われ、派遣元企業が本来ならば行わなければならない労働力の需給調整の実施が認められないと判断されるため、派遣元企業によるグループ企業への派遣割合は全体の「8割以下」に制限されることになりました。

退職1年未満の者の同一会社への派遣禁止

直接雇用されていた労働者が退職後1年以内に派遣労働者となり、退職した会社で働くことは、労働者の雇用条件の不要な引き下げを招く危険があることから、禁止されました。

マージン率などの情報提供

派遣労働者として働くことを検討する者や派遣先事業主がより適した条件を提示する派遣元企業を選ぶことができるよう、派遣におけるマージン率や派遣労働者に対する教育訓練の取り組み内容をオンライン等で明示することが義務づけられました。

 

また、派遣元企業と契約を交わした派遣労働者に対しては、派遣料金の明示をしなければならない点もあわせて定められました。

派遣労働者に対する待遇説明

派遣元企業は、派遣労働者として契約をしようとする労働者に対して、雇用時の賃金見込み額や待遇の内容、派遣元企業の事業運営内容、派遣制度の内容を説明することが義務づけられました。

有期雇用の派遣労働者に対する無期雇用転換措置

派遣元企業は、通算1年以上継続雇用されている有期雇用の派遣労働者が希望する場合は、次のうちいずれかの対応をしなければなりません。

 

①無期雇用の機会提供

②紹介予定派遣の対象とし、派遣先企業での直接雇用推進

③無期雇用転換のための教育訓練実施

 

なお、派遣労働者が無期雇用・有期雇用のいずれかを派遣先企業への通知事項に追加しなければならない点についても重要となります。 

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有期雇用の派遣労働者に対する無期雇用転換措置

派遣元企業は、均衡待遇を保つため、派遣労働者の給料を決定する際には同業の派遣労働者の賃金水準に配慮をしなければなりません。また、派遣労働者が行う職務内容や成果、派遣労働者のもつ意欲やスキル、経験、さらには教育訓練や福利厚生面についても配慮をすることが求められています。

2015年改正では雇用安定化措置(3年ルール)が加わる

CORA / PIXTA(ピクスタ)

 

2012年に大きな法改正が実施された労働者派遣業ですが、その後も雇止めなどの問題が依然として取りざたされる状況が続いていることに加え、派遣期間の制限対象となる専門業務の内容が複雑化しており、現場の混乱が相次いでいたことも問題視されました。その上、雇用形態の多様化により、「やむを得ず」ではなく、進んで派遣労働者として働くことが注目されていることを受け、2015年に下記の通り更なる大きな法改正が実施されることになりました。

派遣事業体制の一本化

これまでは、許可制を取る従来の「一般労働者派遣事業」に加え、常用雇用労働者のみを派遣対象としている「特定労働者派遣事業」という、届出制の事業が存在していました。しかし、許可要件を満たしていないことを理由に、特定労働者派遣事業として一般労働者派遣事業を行うケースがみられ、違法派遣としてたびたび問題視されていました。

これを受け、今回の法改正では、これらの2種の事業形態を新たに「労働者派遣事業」として一本化し、すべての派遣事業で許可制を取る運びとなりました。

3年ルールの実施

派遣元企業は、同じ組織に継続して3年間派遣される見込みがある派遣労働者に対して、下記のいずれかの措置を取らなければならないという、いわゆる「3年ルール」が定められました。なお、1年以上3年未満を同一組織で派遣されている労働者に対しては、下記の措置が「努力義務」となります。

 

①派遣先企業へ直接雇用をするよう依頼する

②新しい派遣先企業を提供する

③派遣元企業で無期雇用として契約する

④教育訓練や紹介予定派遣等の雇用継続措置

 

その他、派遣労働者へのキャリアアップ措置や賃金・教育訓練・福利厚生に関する均衡待遇の推進なども派遣元企業へ義務づけられています。

期間制限ルールの変更

派遣期間の上限が原則1年として定められている政令26業務の期間制限が見直され、法改正以後に交わされる派遣契約では、同一の派遣先企業へ派遣ができる期間が原則として3年、同一の組織単位に派遣できる期間の限度が3年に規定されました。

労働契約申込みみなし制度

派遣先企業が違法派遣と知りながら派遣労働者を受け入れている場合は、受け入れた時点でその派遣労働者を、派遣元企業との間で交わされている労働条件と同一内容で労働契約の申し込みをしたものと扱われる制度で、違法派遣を防ぎ、派遣労働者を守るために新設されました。

2020年改正で組み込まれた「同一労働同一賃金」の原則

 

2020年の法改正で大々的に打ち出されたのが、派遣労働者における「同一労働同一賃金」の実現です。

 

同一労働同一賃金は、雇用形態に関わらず、同じ仕事をする場合は賃金も同じにしなければならないという考え方で、正社員と非正規労働者の待遇を平等なものにするために打ち出されています。

 

しかし、派遣元企業からさまざまな企業へ派遣される派遣労働者の場合、「同一労働同一賃金」の原則に照らし合わせると、派遣先で勤務する労働者と同水準の賃金を受け取ることになるため、派遣先によっては賃金の水準が変動してしまう事態が生じます。

 

このような状況に対応するため、派遣元企業には「派遣先均等・均衡方式」もしくは「労使協定方式」のいずれかの対応を取り、派遣労働者の公正な待遇を確保することが義務づけられました。なお、今回の法改正では、上記の他にも派遣労働者の待遇にまつわる説明義務の強化や、裁判外紛争解決手続規定の整備が実施されました。 

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2021年は2度の改正で、派遣労働者への待遇はさらに厚く

 

2021年度には、1月、4月にそれぞれ以下の内容が改正・施行されました。

2021年1月度の法改正

①派遣労働者雇用開始時の説明事項追加

キャリアアップ措置や教育訓練内容の説明が求められます。

 

②派遣契約解除時の日雇派遣労働者への措置

日雇派遣契約が解除された際には、解除対処となった日雇派遣労働者に対し、別の就業機会の付与や休業手当の支払などで就業の埋め合わせを行う必要があります。

 

③派遣契約の電磁的記録作成措置

これまでは書面化が原則であった労働者派遣契約書類の電子化が認められます。

2021年4月度の法改正

①雇用安定措置における希望聴取

すでに導入されている派遣労働者向けの雇用安定措置をより強固なものにするため、派遣労働者に今後の希望待遇内容を聴取し、派遣元管理台帳へ記載する必要があります。

 

②オンライン上でのマージン率情報提供

派遣元企業は、事業所ごとの派遣労働者数やマージン率、教育訓練など提供義務がある内容すべてをインターネット等で明示する必要があります。

まとめ

派遣労働者に対する注目度や考え方は、複数の法改正を経て、法律が誕生した当初から大きく様変わりしたことがお分かりいただけましたでしょうか。

 

派遣元企業には、派遣契約を交わした労働者に対し、待遇や教育訓練によるステップアップの支援など、さまざまな面での対応が必要とされています。派遣労働者や派遣先企業と密に連携を取り、適切な形で派遣事業が遂行できるよう、引き続き法改正の内容に注視をすることが求められるでしょう。

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この記事の著者

加藤 知美

エスプリーメ社労士事務所 社会保険労務士 加藤知美 愛知県社会保険労務士会所属。総合商社、会計事務所、社労士事務所の勤務経験を経て、2014年に個人事務所を設立。 総合商社時では秘書・経理・総務が一体化した管理部署で指揮を執り、人事部と連携した数々の社員面接にも同席。会計事務所、社労士事務所勤務では顧問先の労務管理に加えセミナー講師としても活動。 現在は文章能力を活かしたオリジナルの就業規則・広報誌作成事業の2本柱を掲げ、専門知識を分かりやすく伝えることをモットーに企業の支援に取り組んでいる。

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