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教育 派遣元責任者 2023年12月04日

派遣労働者の研修は人材派遣会社と派遣先企業の義務|やるべき研修や注意点など

派遣労働者の研修は人材派遣会社と派遣先企業の義務|やるべき研修や注意点など

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スキルアップやキャリア形成の難しさは、派遣労働者の課題といえます。日本では法律で、派遣労働者を対象とした一定の研修が義務づけられています。人材派遣会社や派遣先企業は、これらの法律を理解したうえで効果的な研修を実施しなければなりません。この記事では、人材派遣会社や派遣先企業が行うべき研修について解説します。研修を充実させるメリット、注意点なども紹介するので参考にしてください。

 

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派遣社員への教育は義務化されている|訓練を計画する手順や実施の注意点も解説

人材派遣会社が実施するべき8時間研修(キャリア形成支援制度)とは

人材派遣会社に義務づけられている、派遣労働者を対象としたキャリア形成支援制度の概要を解説します。

キャリア形成支援制度とは

2015年9月より施行された改正労働者派遣法で、8時間研修(キャリア形成支援制度)が定められました。キャリア形成支援制度とは「派遣労働者として働く全ての労働者に、教育訓練を受ける権利がある」という考えで定められた制度のことです。制度は全ての派遣労働者が対象で、人材派遣会社は教育訓練を有給かつ無償で実施しなければなりません。

労働者派遣事業の許可申請を出す際に、人材派遣会社には「キャリア形成支援制度」や「キャリアアップに資する教育訓練」の状況について説明が求められます。

※参考:労働者派遣事業を行うにあたっては、派遣労働者のキャリアアップのため、教育訓練計画を策定してください。|厚生労働省

8時間研修(キャリア形成支援制度)の時期・頻度・時間数など

2015年の労働者派遣法改正では、8時間研修(キャリア形成支援制度)の時期・頻度・時間数について、以下のように定めています。

・全ての派遣労働者全員に対して、入職時の教育訓練は必須である

・入職して最初の3年間は、毎年1回以上の教育訓練の機会を提供すること

・フルタイムで1年以上の雇用見込みの派遣労働者1人につき、毎年おおむね8時間以上の教育訓練の機会を提供すること

※参考:労働者派遣事業を行うにあたっては、派遣労働者のキャリアアップのため、教育訓練計画を策定してください。|厚生労働省

派遣労働者に対する8時間研修の目的

8時間研修(キャリア形成支援制度)の目的は、派遣労働者のキャリア形成です。かつて派遣労働者のキャリア形成は個々に委ねられていました。しかし、派遣先企業の都合で契約を打ち切られる、正規従業員が受けられる研修を受けられないなど、派遣労働者のキャリア形成は容易ではありませんでした。キャリア形成を通じて待遇改善をもたらす8時間研修は、派遣労働者にとって大いにメリットのある制度といえます。

8時間研修で実施すべき内容

8時間研修(キャリア形成支援制度)では、派遣労働者のスムーズなキャリア形成を考慮して、段階的かつ体系的な研修が求められます。また、キャリア・コンサルティングの窓口も設置しなければいけません。窓口には専任の担当者を設置して、全ての派遣労働者がキャリア・コンサルティングを受けられるようにします。

キャリア形成を念頭に置いた派遣先の提供についても既定されており、労働者派遣事業の許可申請を出す際に、マニュアルや手引き書などの添付も求められます。

人材派遣会社が研修を充実させるメリット

派遣労働者のキャリアを向上させると、人材派遣会社や派遣先企業にとってもよい影響がもたらされます。

派遣労働者のパフォーマンスが上がり派遣先企業の評価が高まる

人材派遣会社が計画した研修によって派遣労働者がスキルアップすると、仕事の効率が上がります。派遣労働者のパフォーマンスが上がれば、派遣先企業の評価も高まります。なお、研修を通じて資格を取得してもらうと、知識やスキルの証明に効果的です。

派遣労働者の仕事の幅が広がり派遣契約の増加につながる

研修制度が充実していると、派遣労働者は仕事の幅を広げられます。エクセルやワードのようなビジネスに欠かせないスキルから、語学やプログラミングなど専門的なスキルまで、人材派遣会社が用意できる研修はさまざまです。研修を通じて仕事の幅を広げると、派遣契約の増加が期待できます。

派遣会社に優秀な人材が集まりやすい

派遣労働者にはスキルアップやキャリア形成に意欲的な人が多く、研修が充実している人材派遣会社には優秀な人材が集まってきます。人材派遣会社にとって、優秀な人材は大切な存在です。人材派遣会社の企業価値を上げるために、研修を充実させましょう。

派遣先企業に義務づけられている派遣労働者への研修(教育訓練)

派遣先企業にも、派遣労働者への研修(教育訓練)が一部義務づけられています。義務の理由や訓練内容を解説します。

研修が義務化された理由

かつては、派遣先企業にとって派遣労働者の教育は努力義務でした。しかし、2020年4月の労働者派遣法改正によって、正規従業員と派遣労働者の待遇格差を是正することが義務づけられました。派遣労働者の教育訓練も、待遇格差是正の一環です。また、派遣労働者のスキル向上とキャリア形成も、研修が義務化された理由の1つです。

※参考:派遣先が講ずべき措置に関する指針|厚生労働省

派遣労働者への教育訓練の内容

派遣先企業がかかわる派遣労働者への教育訓練は「業務遂行に必要な能力を付与するための教育訓練」と「キャリアアップのための教育訓練」の2種類です。業務遂行に必要な能力は、派遣先企業での業務内容に深く関わるスキルです。一方、キャリアアップのための教育訓練は、人材派遣会社が計画したものです。派遣先企業には、人材派遣会社の求めに応じて、派遣労働者が教育訓練を受けられるように協力する義務があります。

派遣先企業が派遣労働者の研修をする際の注意点

派遣労働者の権利を守るため、教育訓練についてさまざまなルールが決められています。派遣労働者の研修にかかわる際の注意点を解説します。

研修費用は無償にする

研修費用を派遣労働者に請求することは禁止されています。また、研修中は有給扱いしなければなりません。やむをえず休憩時間や休日を研修にあてる場合は、別途休憩や休日を取ってもらうか、手当や残業代を支給します。研修場所に通う交通費が派遣先企業から支給される交通費を上回る場合は、人材派遣会社が負担します。

研修内容は事前に通知する

2020年4月の労働者派遣法改正により、派遣先企業は派遣労働者を受け入れる際に、研修内容を伝えるよう義務づけられました。人材派遣会社も教育訓練計画をつくりますが、派遣先企業も、派遣労働者を受け入れる前に教育訓練計画を用意しておく必要があります。

派遣先管理台帳に記録する

派遣先企業は、教育訓練の日時や内容などを派遣先管理台帳に記録し、人材派遣会社に報告します。派遣先管理台帳とは、派遣労働者の就業状態を報告するための書類のことです。派遣先企業は派遣先管理台帳の作成を義務づけられており、怠った場合は30万円以下の罰金が科せられる場合があります。

人材派遣会社の研修に参加できるように可能な限り努める

前述したとおり、人材派遣会社が派遣労働者に教育訓練を行う場合は、派遣先企業はなるべく便宜を図ります。厚生労働省の「派遣先が講ずべき措置に関する指針」では「派遣労働者が当該教育訓練を受講できるよう可能な限り協力する」と記載されています。

※参考:派遣先が講ずべき措置に関する指針|厚生労働省

派遣先企業の研修(教育訓練)方法

派遣先企業の研修(教育訓練)方法で主になされる、OJT・集合研修・eラーニングの特徴を、メリット・デメリットに触れつつ解説します。

OJTで実践的なスキルを身につけさせる

OJTとは、実際の仕事を通じてスキルを身につける教育訓練のことです。OJTのメリットは、以下のとおりです。

・実践的なスキルを習得しやすい

・研修の時間を確保せずに済み、業務効率化につながる

OJTには以下のデメリットがあります。

・教育担当者の負担が大きい

・派遣労働者が遠慮して、質問できない場合がある

派遣労働者を集めて研修を実施する

会場に派遣労働者を集めて集合研修を実施する派遣先企業も見られます。集合研修のメリットは以下のとおりです。

・一度に多くの派遣労働者に受講してもらえる

・内部講師を用意できれば、研修費用を抑えられる

集合研修のデメリットは以下のとおりです。

・派遣労働者同士や講師のスケジュールを合わせにくい

・内部講師の場合は、テキストを用意する手間が発生する

・外部講師を呼ぶ場合は研修費用がかかる

eラーニングを利用する

eラーニングとは、インターネット上で受ける研修のことです。派遣労働者はパソコンやタブレット、スマートフォンを通じて研修に取り組めます。eラーニングのメリットは、以下のとおりです。

・派遣労働者が自分のペースで学習できる

・学習記録が残るため、進捗を管理して適時受講を促せる

・テスト機能、アンケート機能で受講者の理解度が分かる

・インターネットに接続できる環境なら、時間や場所を選ばず学習できる

一方、eラーニングには以下のデメリットがあります。

・派遣労働者に最低限のITリテラシーが必要になる

・双方向のコミュニケーションは難しい

・実技が必要な学習には向かない

まとめ

派遣労働者のスキルアップやキャリア形成を目的とした研修は、人材派遣会社と派遣先企業の両方に義務づけられています。OJT・集合研修・eラーニングには、それぞれメリット・デメリットがあります。教育計画に合う方法を選んで、派遣労働者の研修に役立てましょう。

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この記事の著者

takenoi

「派遣のミカタ」事業内で営業事務やライティング作業を担当しております。

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