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人材派遣のマージン率とは?目安や内訳、重視される理由や派遣元企業がとるべき対応を解説
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派遣スタッフを利用するときに、派遣元企業のマージン率が気になる場合は多いでしょう。また、派遣元企業にとっても、マージン率の設定や対応には十分に注意する必要があります。そこで本記事では、マージン率の概要や計算方法、内訳などを詳しく解説します。マージン率が重視される理由なども紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
人材派遣のマージン率とは?
人材派遣におけるマージンとは、派遣先企業が派遣元企業に支払う派遣料金のうち、派遣スタッフへの報酬を差し引いた金額のことです。つまり、マージン率は、派遣料金全体に占めるマージンの割合を指します。
マージン率と利益率の違い
マージン率は利益率と混同されがちですが、両者はまったく異なるものです。利益率とは、派遣料金のなかから派遣元企業が受けとる利益の割合のことを指します。派遣元企業が受け取ったマージンはそのまま会社の利益になるわけではなく、経費や社会保険料などが差し引かれます。そのため、マージンと利益は必ずしも一致するとは限りません。
マージン率が重視される理由
マージン率が重視される理由としては、以下が挙げられます。
マージン率を含む情報公開が義務化
従来はマージン率を開示していない派遣元企業がほとんどでしたが、2021年4月の派遣法改正により、マージン率を含む情報の公開が義務化されました。派遣元企業には、自社のマージン率を開示するための適切な対応が求められます。
マージン率が人材派遣会社を選ぶ基準に
マージン率の公開が義務づけられたことで、派遣先起業が派遣元企業を選ぶ基準の1つとして、マージン率を参考にするようになりました。また、労働者にとっても、マージン率は派遣元企業を選ぶ判断材料になっています。
人材派遣のマージン率の目安
厚生労働省が派遣元企業に対して行ったアンケート調査によると、2018年度のマージン率の平均は30.4%でした。(回答のあった事業者の平均)一方、派遣先企業から支払われる派遣料金と、派遣スタッフへの賃金から算出したマージン率は、以下のように推移しています。
年度 | マージン率 |
2004年 | 28.5% |
2005年 | 31.0% |
2006年 | 32.2% |
2007年 | 32.0% |
2008年 | 31.2% |
2009年 | 30.5% |
2010年 | 31.0% |
2011年 | 31.3% |
2012年 | 31.7% |
2013年 | 31.3% |
2014年 | 31.5% |
2015年 | 31.6% |
2016年 | 33.8% |
2017年 | 34.6% |
2018年 | 35.4% |
※参考:マージン率等の情報提供について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000634367.pdf
人材派遣のマージン率の内訳
ここからは、人材派遣におけるマージン率の内訳を紹介します。
※注:以下に記載する平均割合は各項目ごとの割合の平均であり、マージン率の平均値とは一致しません。
1.社会保険料・労働保険料
厚生年金や労災保険、健康保険、雇用保険などの社会保険料・労働保険料の保険料です。厚生労働省の調査では、平均割合は11.4%となっています。
2.有給休暇費用
正規雇用の従業員と同様に、派遣スタッフにも有給休暇は付与されます。派遣スタッフが有給休暇を取得した場合は、雇用主である派遣元企業が賃金を支払う仕組みです。
3.事業運営費
オフィスの賃料や人件費など、派遣元企業が存続するための運営費も含まれます。
4.教育訓練費
派遣スタッフのスキルアップや資格取得を支援するための費用です。派遣スタッフの研修費用や、eラーニング費用もここに含まれます。厚生労働省の調査では、平均割合は2.4%です。
5.福利厚生費
慶弔見舞金、健康診断の費用などの一時的な福利厚生費も含まれます。厚生労働省の調査では、平均割合は3.4%です。
6.営業利益
そのほかのすべての費用を抜いたものが、派遣元企業の営業利益となります。厚生労働省の調査では、平均割合は5.9%です。
人材派遣のマージン率の計算方法
人材派遣のマージン率は、以下の式で計算できます。
(派遣料金の平均額 -派遣スタッフの賃金の平均額) ÷ 派遣料金の平均額 × 100 |
「派遣料金の平均額」は、派遣スタッフ1人1日(8時間)当たりの労働者派遣に関して、派遣先が支払う料金の平均額です。また、「派遣スタッフの賃金の平均額」は、派遣スタッフ1人1日(8時間)当たりの労働者派遣に関する賃金の平均額を指します。
たとえば、派遣料金の平均額が24,000円、派遣スタッフの賃金の平均額が16,000円の場合、マージン率は以下のとおりです。
(24,000円-16,000円)÷24,000円×100=約33.3% |
人材派遣のマージン率は低いほうがよい?
派遣先企業や派遣スタッフにとっては、マージン率が高い派遣元企業にはあまりよい印象を持てない場合も多いでしょう。しかし、マージン率には派遣スタッフへの教育訓練費や運営費なども含まれます。
たとえば、教育訓練や資格取得に力を入れているほど、マージンに含まれる研修費用が高くなります。また、運営費が少なければ、事業の継続が困難になり、安定的な人材提供が難しくなる場合もあるでしょう。そのため、マージン率が低い派遣元企業が良心的とは一概に断言できません。
【派遣元企業向け】マージン率を公開する際にとるべき対応
ここからは、派遣元企業がマージン率を公開するときにとるべき対応を紹介します。
情報提供すべき事項を整理する
派遣元企業に情報提供が義務付けられている情報は、マージン率だけではありません。抜け漏れが発生しないよう、公開すべき事項を整理しておきましょう。公開すべき情報は、以下の7つです。
1.派遣労働者の数
2.派遣先の数
3.派遣料金の平均額
4.派遣労働者の賃金の平均額
5.マージン率
6.労使協定を締結しているか否かの別等
7.派遣労働者のキャリア形成支援制度に関する事項
また、事業年度が終了したあとは、なるべく速やかに前年度分の実績を公表する必要があります。
インターネットでの常時公開が原則
情報提供の方法は「事業所への書類の備付け」や「インターネットの利用」「その他の適切な方法(パンフレットのなど)」から選択可能ですが、マージン率に関しては、常時インターネットで公開することが原則とされています。自社のホームページや、厚生労働省が運営する人材サービス総合サイトで情報を発信しましょう。
【派遣先企業向け】人材派遣会社を選ぶ際のチェックポイント
派遣先企業においては、派遣元企業を選ぶ際はマージン率だけではなく、そのほかの情報を総合的に判断することが大切です。
得意な業種・職種
自社が求める業種・職種の人材をなるべく多く扱っている企業を選びましょう。また、幅広い業種・職種を扱っている企業よりも、特定の業種・職種に特化しているほうが即戦力を見つけやすい可能性があります。
派遣後のフォロー体制
派遣スタッフの状況確認など、派遣後のフォロー体制が整っていると、派遣先としても安心してスタッフを受け入れられます。なにかトラブルが発生した際も、的確なサポートを期待できるでしょう。
信頼性の高さ
企業としての規模や実績などを確認することも大切です。派遣業の許可を受けていることはもちろん、セキュリティ管理の体制もチェックしましょう。
営業スタッフの対応
営業担当者の対応力も重要なポイントです。自社の業種や、自社に適した人材に対する理解力を見極めましょう。
派遣や業務委託を活用する際の注意点
ここでは、派遣や業務委託の注意点について解説します。
派遣事業者の従業員を別の会社に送ると罰則がある
派遣を活用する際には、二重派遣を行わないように注意しましょう。企業が派遣事業者の従業員をさらに別の企業に派遣すると二重派遣となり、場合によっては禁固刑や罰金が科せられます。
また、意図的ではなくとも、自社以外の企業が派遣事業者の従業員に指示を出すと二重派遣とみなされます。実際の勤務状況をこまめに確認し、二重派遣にならないよう配慮しましょう。
業務委託の場合には直接指示を出さない
業務委託を活用する際には、業務委託先の労働者に対して直接指示を出さないようにしましょう。業務委託契約を結んだ場合には、自社の業務であっても労働者に対して直接指示を出すことはできません。指揮命令ができるのは委託先のみです。
労働者に対して直接業務上の指示を出すと、偽装請負とみなされてしまい、禁固刑や罰金が科される恐れがあります。現場で働く労働者に対して指示を出したい場合には、派遣を活用しましょう。
まとめ
人材派遣におけるマージン率とは、派遣料金全体に占める派遣元企業の取り分の割合のことです。ただし、実際に派遣元企業の利益となるのは、マージンから派遣スタッフの教育訓練費や福利厚生費、オフィスの賃料などを差し引いた金額です。そのため、一概にマージン率が低いことが良心的とは断言できません。
派遣先企業はマージン率の仕組みをしっかりと理解し、自社に適した派遣元企業を選ぶことが大切です。また、派遣元企業は法律に則りマージン率を公開するとともに、派遣先企業や派遣スタッフの疑問や不安を解消できるよう、丁寧な説明を心がけましょう。もし、派遣スタッフのキャリア支援にお悩みなら「派遣のミカタ」をご活用ください。
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