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派遣法 2022年05月26日

【改正派遣法】3年以上働けるって本当?無期転換ルールって?

【改正派遣法】3年以上働けるって本当?無期転換ルールって?

有期労働契約における雇止めなどの不安を解消するため、法改正により「無期転換ルール」が施行されました。この無期転換ルールは、有期契約を交わす派遣労働者にも適用されることから、派遣元企業もルールに対する正しい理解が必要です。

 

今回は、無期転換ルールの概要や派遣労働者に適用する場合のポイント、改正派遣法による「3年ルール」の適用はどうなるのかといった点について、順を追って解説していきましょう。

派遣労働者にとって重要な「2018年」の2種類の法改正とは

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2018年は、派遣労働者にとって2つの法改正によるルールが適用される重要な年になりました。いずれの法改正も、雇止めや派遣切りなどの不安から派遣労働者を開放し、安心して働くことができるような環境づくりのために実施されていますので、ここから順に見ていきましょう。

1.無期転換ルール

一つ目の法改正は、2013年4月の「改正労働契約法」により新たに打ち出された「無期転換ルール」になります。

 

無期転換ルールとは、同一の企業と有期契約を交わした労働者との通算契約期間が5年を超えた際、“その社員が申込みをした場合は”期間の定めのない「無期労働契約」に転換しなければならないールをいいます。同一の企業であれば、部署異動や職種変更により仕事内容が変わっていたとしても、その期間が通算される点に注意が必要です。

 

この通算期間のカウント方法について例を挙げてみましょう。

 

たとえば、1年ごとに期間雇用契約を交わす労働者の場合は、契約更新を5回実施した後である6年目以降が、無期転換の申し込み権利が発生する期間になります。

 

一方、3年ごとの期間雇用契約を交わす労働者の場合は、契約更新を1回実施した後である4年目以降が、無期転換の申し込み権利が発生する期間になります。これは、3年契約を1回更新した時点で、通算期間が5年を超えることが明らかであるためです。

 

なお、有期雇用者がこのルールに沿って申込みを行った場合は、企業側はこれを断ることはできません。

 

無期転換ルールは、2013年4月以降に雇用契約を開始した有期雇用者が対象となるため、5年後の2018年よりルールの適用が本格化し、無期転換の申し込みが開始される運びになりました。

2.3年ルール

もう一つの法改正は、2015年10月の「改正労働者派遣法」により打ち出された「3年ルール」です。

 

3年ルールとは、“派遣労働者”が同じ事務所で3年を超えて働くことができないという「期間制限ルール」をいいます。具体的には、同じ事業所へ3年を超えて派遣就労できないという「事業所単位」による期間制限と、事業所単位による期間制限が延長された場合でも、同じ組織単位(課や部署など)で3年を超えて派遣就労できないという「個人単位」による期間制限の2種類が挙げられます。

 

この3年ルールが導入された2015年から3年後となる2018年よりルールの適用が本格化し、派遣元企業には雇用安定措置の実施が求められるようになったわけです。

派遣の無期転換とは?

freeangle / PIXTA(ピクスタ)

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前項目でも述べた通り、派遣労働者に対しても改正労働契約法による「無期転換ルール」が適用されます。一般的な労使雇用の場合、無期転換の申し込みは労働者である社員から就労先である会社側へ行われます。しかし、“派遣労働者の場合は無期転換の申し込みを行う相手は就労先ではなく、派遣元企業となる”点に注意が必要です。

 

ただし、ひとことで派遣労働者といっても、雇用形態の種類に応じてルール適用の可否が異なりますので、順を追って見ていきましょう。

1.常用型派遣

まず、派遣元事業主が常時雇用として派遣労働者と契約を交わす「常用型派遣」のケースです。常用型派遣の場合、派遣先へ派遣されていない期間も派遣労働者との雇用契約が持続するため、待遇が安定している形態であるといえるでしょう。なお、常用型派遣は、派遣元と無期契約を交わしていることになるため、当然ながら無期転換ルールの対象外となります。

2.登録型派遣

一方、派遣元である派遣会社へ登録を行い、派遣元と派遣先企業の間で決められた期間に派遣労働者として働く「登録型派遣」のケースを見てみましょう。

 

登録型派遣の場合、常用型派遣とは異なり、雇用形態は「有期雇用」で、派遣会社の指示により派遣労働をしている期間のみが賃金支払いの対象となります。つまり、A社での派遣が終了し、次にB社へ派遣されるまでの間は収入がないという状況で、常用型派遣と比較すると不安定な待遇であることが分かります。

 

このような登録型派遣の場合は、無期転換ルールの対象となります。同じ派遣元企業の指示により派遣先で就労している期間が通算で5年を超えた場合は、無期転換への申し込み権利が発生します。

ただし、気をつけなければならないのが、単に派遣会社へ登録されているだけの期間は通算の対象とはならない点です。“派遣先で就労している期間のみをカウントする”点に注意しましょう。

 

同時に、通算して5年という期間を超えたら自動的に無期契約へ転換するわけではない点についても覚えておきましょう。あくまでも、派遣労働者側より「申込み」を行った場合のみ、適用されることになります。なお、申込みは口頭・書面・メール等の方法は問いませんが、後のトラブルを防止するために書面もしくはメール文面を印刷するなど、形に残る方法で実施することが有効です。

3.クーリング

登録型派遣の場合、無契約期間が一定以上存在する場合、クーリングの対象となるケースがあります。

 

無契約期間とは、同じ派遣会社との間で登録のみをしており、実際に派遣先で就労していない期間のことです。この無契約期間が一定にわたり続く場合に、無契約期間から前の有期契約期間(派遣先での就労期間)が無期転換ルールの通算期間である5年から除外され、これを「クーリング」と呼びます。

 

クーリングの適用は、通算期間や無契約期間の長さに応じて次のように異なります。

 

(a)無契約期間前の通算期間が1年以上、かつ無契約期間が半年以上

クーリングあり(無契約期間前の有期契約期間は通算されません)

 

(b)無契約期間前の通算期間が1年以上、かつ無契約期間が半年未満

クーリングなし(無契約期間前の有期契約期間は通算されます)

 

(c)無契約期間前の通算期間が1年未満

それぞれ下記の期間に該当する場合は、クーリングが行われます。

クーリングが実施された場合は、無契約期間から数えて次の有期契約期間から再び通算カウントが実施されることになります。

 

無契約期間前の通算期間 無契約期間
2ヶ月以下 1ヶ月以上
2ヶ月超~4ヶ月以下 2ヶ月以上
4ヶ月超~6ヶ月以下 3ヶ月以上
6ヶ月超~8ヶ月以下 4ヶ月以上
8ヶ月超~10ヶ月以下 5ヶ月以上
10ヶ月超~ 6ヶ月以上

無期雇用のメリット・デメリット

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この項目では、有期雇用の派遣労働者が無期雇用へ転換されることでどのような影響があるかを見ていきましょう。

1.メリット

まず、期間の定めがなくなることで、いつクビになるかという不安なく働くことが可能になり、派遣労働者への待遇が安定します。そのため、派遣労働者自身が働くことに集中し、モチベーションアップやスキルアップの意欲が高まることで、より生産性の高い仕事へとつながっていくでしょう。

 

さらに、無期雇用の場合は登録型派遣の場合は遵守しなければならない3年ルールの適用外となるため、派遣元企業と派遣先企業での契約が存続する限りは、同じ会社の同じ職場で派遣社員として働き続けることができる点もポイントでしょう。

2.デメリット

登録型派遣のケースとは異なり、無期雇用の場合は派遣労働者自身が好きな時期に好きな職場で働くことができるという自由が利かなくなる点に特徴があります。

 

また、契約期間が有期雇用から無期雇用へ変わっただけで、その他の雇用条件に変化がないケースもみられることから、無契約期間のある登録型派遣と比較すると心身ともに負担が増えたと感じる派遣労働者もいるようです。

 

さらに誤解が生じやすいポイントとしては、無期雇用と正社員は異なるという点が挙げられます。常用雇用で契約期間がない無期雇用といえば、正社員と同じではないかと考える人も少なくないことが予想されますが、派遣先企業で派遣労働者として働くことを前提として契約をしている無期雇用者と、企業内で働くことを前提として雇用された正社員とでは、立場が大きく異なります。無期雇用の申し込み権利が発生したからといって、正社員になれるわけではない点について、注意をしなければなりません。

まとめ

ひとことで「無期転換ルール」といっても、派遣労働者に適用する場合は働き方や形態などに応じてさまざまな注意が必要であることがお分かりいただけましたでしょうか。

 

特に、登録型派遣におけるクーリングにまつわる問題や、無期雇用と正社員との違いについては、派遣労働者との間で発生するトラブルの元となる可能性があることから、派遣元企業全体で適切にルール把握を行っていくことが求められます。

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この記事の著者

加藤 知美

エスプリーメ社労士事務所 社会保険労務士 加藤知美 愛知県社会保険労務士会所属。総合商社、会計事務所、社労士事務所の勤務経験を経て、2014年に個人事務所を設立。 総合商社時では秘書・経理・総務が一体化した管理部署で指揮を執り、人事部と連携した数々の社員面接にも同席。会計事務所、社労士事務所勤務では顧問先の労務管理に加えセミナー講師としても活動。 現在は文章能力を活かしたオリジナルの就業規則・広報誌作成事業の2本柱を掲げ、専門知識を分かりやすく伝えることをモットーに企業の支援に取り組んでいる。

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