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【具体例あり】派遣会社のキャリアアップ支援とは?法令による義務化や支援策について
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労働者派遣法が改正されたことで、派遣会社には派遣労働者のキャリアアップ支援が義務付けられました。派遣先企業においても、配慮義務が定められており、派遣労働者を取り巻く環境は変化しています。この記事では、派遣会社がやるべきキャリアアップ支援について、支援内容や具体的な支援策などを解説します。
目次
派遣会社はキャリアアップを支援する義務がある
2015年9月に施行された改正労働者派遣法により、派遣労働者を雇っている派遣会社には、従業員のキャリアアップ支援が義務化されました。法改正に伴い、労働者派遣事業の許可申請も見直され、キャリアアップに関する2つの要件が追加されました。
・「キャリア形成支援制度」を設ける
・「キャリアアップに資する教育訓練」の計画を策定する
労働者派遣法が改正された背景にあるのは、正規雇用労働者に比べ、派遣労働者はキャリアアップの機会が少ないという現状があるためです。キャリアアップ支援を義務化することで、派遣労働者のスキル向上や待遇改善が期待されています。
派遣会社がやるべきキャリアアップ支援の内容例
派遣会社は、派遣労働者のキャリアアップ支援として、どのような制度を設けるべきなのでしょうか。ここでは、具体的な支援策を3つ紹介します。
教育訓練
法令にもとづいて派遣業を行うには、段階的かつ体系的な教育訓練の実施計画が必要です。実施する教育訓練は、派遣労働者のキャリアアップにつながる内容でなければなりません。「入職時の教育訓練は必須」「最初の3年間は毎年1回以上の教育訓練が必要」など、時期や頻度についても定められているため、要件をしっかりと確認したうえで計画を策定していきましょう。
キャリアカウンセリング
「キャリア形成支援制度」の設置では、希望するすべての派遣労働者がキャリアカウンセリングを受けられるように、仕組みを構築する必要があります。キャリアコンサルティングに知見のある担当者が配置された相談窓口を設置し、気軽に相談できる環境を整えましょう。
キャリア形成を前提とした派遣先の提供
派遣会社には、派遣労働者のキャリア形成を前提とした派遣先の提供が求められます。手続きの透明性を確保するためにも、規定が記された事務手引やマニュアルなどの整備が必要です。
派遣のキャリアアップに向けた教育訓練のポイント
教育訓練の実施計画では、以下の4つのポイントを重視して策定していきます。労働者派遣法は2021年にも改正されており、キャリア形成については「教育訓練やキャリアコンサルティングに関する説明の義務化」が追加されています。
教育訓練に関する要件を把握する
教育訓練の実施計画は、以下の要件をすべて満たす必要があります。
・雇用するすべての派遣労働者が対象となっている
・有給かつ無償で行われている
・キャリアアップに役立つ内容になっている
・入社時の教育訓練も含まれている
・無期雇用の場合、長期的なキャリア形成を前提としている
訓練内容を検討するときは、現状の把握と分析からはじめます。分析をもとに、求められる人物像や必要なスキルを設定し、具体的な計画に落とし込んでいきます。
実施期間を把握する
教育訓練では、実施する期間や頻度についても決められています。まず、入職時の教育訓練は、すべての派遣労働者を対象に実施しなければなりません。さらに、入職から最低でも3年間は、年1回以上の教育訓練の機会を提供する必要があります。キャリアの節目においても、キャリアパスに応じた研修を用意することが求められます。
実施時間は、1年以上の雇用見込みがあるフルタイムの場合、1人当たり毎年8時間以上の教育訓練が目安です。教育訓練は有給かつ無償で提供する必要があるため、派遣労働者の負担にならないよう実施時間や方法にも配慮しましょう。
派遣労働者に説明する
2021年1月に施行された改正労働者派遣法により、教育訓練計画の内容を派遣労働者に周知することが定められました。教育訓練の実施には、派遣労働者の同意も必要になるため、説明用の資料などを用意しておくと便利です。
派遣先管理台帳を活用する
教育訓練の実施履歴は「派遣先管理台帳」に残さなければなりません。派遣先管理台帳とは、派遣労働者の就業状況などを記した書類のことで、適切に作成・管理しないと罰金などのペナルティを受けるケースがあります。作成後は一定期間の保管も義務付けられているので、契約終了と同時に処分することがないよう注意しましょう。
派遣会社のキャリアアップ支援例
派遣労働者は派遣会社に雇用されていますが、実際に業務を行うのは派遣先の企業です。キャリアアップ支援策は、派遣会社だけで完結させるのではなく、派遣先企業と協力しながら実施していく必要があります。
eラーニングの活用
オンラインでさまざまなスキルや知識が学べるe-ラーニングは、キャリアアップ支援策としてもおすすめです。インターネット環境さえあれば、パソコンやモバイル機器からいつでも簡単に学習ができます。派遣労働者だけでなく、派遣先の従業員教育として利用できるのも、eラーニングのメリットです。
派遣先でOJTの実施
OJT(On the Job Training)とは、業務を体験しながら、必要なスキルや知識が身につけられる教育訓練のことです。OJTの実施には、派遣先の協力が欠かせません。派遣労働者の指導役をスキルや知識のある従業員が担当することで、コミュニケーションが活性化され、良好な関係が築きやすくなります。
セミナー・研修の開催
複数人を集めたセミナーや研修による学習も、よく実施されている方法です。数十人の従業員を対象にすることもできますが、会場を借りての開催は参加者・主催者双方の負担となるケースもあります。最近では、どこからでも気軽に参加しやすいオンラインセミナーが人気です。
派遣先企業への影響
ここからは、労働者派遣法が改正されたことによる派遣先企業への影響を解説します。
教育訓練の実施への配慮義務
派遣先企業は、派遣元企業である派遣会社が策定した計画に応じて、教育訓練の実施に配慮する義務があります。派遣労働者が教育訓練に参加しやすいよう、時間や業務量の調整を行うことで、キャリア形成をサポートする仕組みです。
情報提供の努力義務
派遣先企業には、派遣労働者に関する情報提供の努力義務も課されています。派遣会社は、派遣先企業から提供された「スキルの習得状況」「業務への貢献度」などの情報をもとに、教育訓練やキャリアカウンセリングを実施します。
派遣会社が活用できる助成金
労働人口の減少が問題視されているなかで、派遣労働者のキャリアアップへの取り組みは活発化しています。派遣労働者の正社員登用や処遇の改善を行った派遣会社に対しては、助成金も用意されています。キャリアアップ助成金は、「正社員化支援」と「処遇改善支援」に分かれており、全部で7つのコースがあります。注意点として、助成金のコースや要件は随時見直されるため、最新情報を確認したうえで申請しましょう。
1.正社員化支援
正社員化支援には、次の2つのコースが用意されています。
・正社員化コース
・障害者正社員化コース
派遣労働者を正社員化した場合に、正社員化コースでは1人当たり最大57万円、障害者正社員化コースでは最大120万円が支給されます。支給額は、企業の規模や雇用契約の内容によっても異なります。
※参考:キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)|厚生労働省
2.処遇改善支援
処遇改善支援には、次の5つのコースが用意されています。
・賃金規定等改定コース
・賃金規定等共通化コース
・賞与・退職金制度導入コース
・短時間労働者労働時間延長コース
・社会保険適用時処遇改善コース(新設)
社会保険適用時処遇改善コースは、年収の壁撤廃に向けて2023年10月に新設されました。キャリアアップ助成金を活用するには、各コース実施日の前日までに「キャリアアップ計画」などを提出する必要があります。
※参考:キャリアアップ助成金|厚生労働省
まとめ
労働者派遣法の改正により、教育訓練の要件が定められ、キャリアコンサルティング相談窓口の設置も義務付けられました。労働者派遣法は時代に合わせて見直されるため、今後もキャリアアップ支援の拡充が予想されています。
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