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派遣教育訓練のeラーニング研修【派遣のミカタ】派遣元責任者 派遣教育訓練のeラーニング研修【派遣のミカタ】派遣業界情報 2024年01月26日

同一労働同一賃金は派遣スタッフにも適用される?派遣元・派遣先に求められる対応を解説

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派遣スタッフを使用するうえで注意したいポイントとして、同一賃金同一労働があります。法改正から数年が経つものの、具体的にどのような点を考慮すればよいのか、明確に説明できない人も多いのではないでしょうか。本記事では、同一賃金同一労働の基本的な考え方やルール企業が取り組むべきことについて詳しく解説します。

同一労働同一賃金とは?概要をおさらい

同一労働同一賃金とは、正規雇用や派遣といった雇用形態に関係なく、同一の業務に従事していれば、同一の賃金を支給されるべきという考え方です。雇用形態による不合理な待遇格差をなくすことを目的に導入され、派遣スタッフやパートタイム労働者、有期雇用労働者を対象としています。

2020年4月の法改正によりルールが明文化

2020年4月の派遣法改正によって、派遣における同一労働同一賃金のルールが明文化されました。それまでも待遇格差の是正については議論されていましたが、法改正によって詳しいルールが定められた形です。

 

2020年の施行当初は大企業のみ対象でしたが、2021年4月には中小企業にも適用範囲が拡大されています。同一労働同一労働は、会社の規模に関係なく、全ての企業にとって関係のあることです。

派遣会社が同一労働同一賃金に違反した場合の罰則

ルールこそ明文化されましたが、同一労働同一賃金には罰則規定がありません。そのため、もしも派遣元企業が同一労働同一賃金に違反したとしても、ペナルティを科されることはないでしょう。

 

しかし、罰則がなくても、待遇格差の是正には誠実に取り組むことが大切です。また、国籍や性別などによる待遇格差については、労働基準法で罰則が設けられている場合があるため注意しましょう。

 

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同一労働同一賃金における待遇の範囲

同一労働同一賃金は、不合理な待遇格差をなくすための考え方です。では、ここでいう「待遇」とは、具体的にどのようなものを指すのでしょうか。ここからは、同一労働同一賃金における待遇の範囲を解説します。

1.基本給・昇給

従業員の基本給はさまざまな要因により決定されることを認めたうえで、業務内容が同じであれば、同一の賃金を支給します。なお、スキルアップに応じた昇給についても、雇用形態にかかわらず適用しなければなりません。

2.賞与(ボーナス)

派遣先が自社の従業員には貢献度にかかわらず賞与(ボーナス)を支給し、派遣スタッフには支給していない場合は、問題があります。貢献度が同一の場合は同一の、違いがある場合は違いに応じた賞与(ボーナス)を支給しなければなりません。

3.各種手当

基本給やボーナスだけでなく、通勤手当や時間外労働手当などの各種手当も対象となります。手当の支給要件に当てはまる場合は、雇用形態にかかわらず同一の支給が必要です。

4.福利厚生・教育訓練

待遇には、福利厚生や教育訓練も含まれます。たとえば、福利厚生施設の理由や慶弔休暇などは、派遣先の従業員と同一の福利厚生を用意しなければなりません。また、現在の職務に必要なスキルや知識を取得する教育訓練についても、派遣先の従業員との待遇差をなくす必要があります。

派遣スタッフの待遇の決定方法

派遣スタッフの待遇を決定する方法には「派遣先均等・均衡方式」「労使協定方式」の2種類に分けられます。

派遣先均等・均衡方式

派遣先均等・均衡方式とは、派遣先で正規雇用される従業員の待遇に合わせる方法です。派遣先企業から提供される情報をもとに、派遣スタッフの待遇を決定します。

労使協定方式

労使協定方式とは、派遣元企業と派遣元企業における労働組合などの間で労使協定を締結し、派遣スタッフの待遇を決定する方法です。簡単にいうと、派遣元企業が派遣スタッフと話し合いを通じて待遇を決める方法を指します。待遇は両者の合意によって決定されますが「賃金は一般労働者の平均的な賃金額と同等以上にする」など、一定のルールが存在します。

労使協定方式を採用するケースが約9割

令和2年の厚生労働省の調査によると、労使協定方式を採用している企業は約9割です。つまり、ほとんどの派遣元企業では、派遣スタッフとの協議によって待遇を決定しているといえるでしょう。

 

派遣先均等・均衡方式は、派遣先が変わるたびに待遇が変わってしまう点がネックです。労使協定方式はそういったリスクが少なく、多くの企業で採用されていると考えられます。

 

※参考:労働者派遣事業報告書に添付される労使協定書の賃金等の記載状況について(一部事業所の集計結果(令和2年度))|厚生労働省

派遣元企業がとるべき対応

同一労働同一賃金を実現するために派遣元企業がとるべき対応は、以下の5つです。

・労働者派遣契約の記載事項の追加

・待遇に関する説明の見直し

・就業規則の作成・変更時における配慮

・派遣先企業への通知内容の追加

・派遣元管理台帳への項目追加

労働者派遣契約の記載事項の追加

派遣先企業と労働者派遣契約を結ぶ際、契約書に以下の項目を追加します。

1.派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度

2.労使協定方式の対象となる派遣労働者に限るか否か

待遇に関する説明の見直し

派遣スタッフが派遣先での待遇に不安を感じることのないよう、派遣元企業に対する説明義務が強化されました。賃金や、賞与の有無などはもちろん、不合理な待遇差を解消するために講ずる措置についても、あらかじめ説明する必要があります。派遣スタッフから待遇差について質問されたときも、派遣元企業に理由義務が生じるため、明確な回答を準備しておきましょう。

就業規則の作成・変更時における配慮

派遣スタッフに関係する事項について、就業規則を作成または変更する際は、あらかじめ派遣スタッフの代表者から意見を聴取する必要があります。なお、ここでいう代表者とは、事業所において雇用する派遣労働者の過半数を代表すると認められる人のことです。

派遣先企業への通知内容の追加

派遣先の企業に対して、派遣スタッフが協定対象派遣労働者であるか否かを通知する必要があります。協定対象派遣労働者とは、労使協定方式によって待遇を決定した派遣スタッフのことです。

派遣元管理台帳への項目追加

派遣元管理台帳に、以下の項目を追加する必要があります。

1.協定対象派遣労働者であるか否かの別

2.派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度

派遣先企業がとるべき対応

同一労働同一賃金を実現させるために派遣先企業がとるべき対応は、以下の5つです。

・労働者派遣契約の記載事項の追加

・派遣元企業に対する情報提供

・派遣スタッフに対する教育訓練や福利厚生の見直し

・派遣料金の交渉に配慮する

・派遣先管理台帳への項目追加

労働者派遣契約の記載事項の追加

派遣先企業も派遣元企業と同様に、労働者派遣契約書に以下の項目を追加する義務があります。

1.派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度

2.労使協定方式の対象となる派遣労働者に限るか否か

派遣元企業に対する情報提供

派遣先企業は、自社の正規雇用の従業員の待遇に関する情報などを派遣元企業に提供しなければなりません。これは、派遣元企業が、派遣スタッフの待遇を決定する際に参照するためです。

派遣スタッフに対する教育訓練や福利厚生の見直し

自社の従業員と派遣スタッフとの間で、教育訓練の実施や福利厚生の利用について不合理な格差がないよう、見直す必要があります。規則の見直しはもちろんのこと、実態として待遇格差がないよう配慮することが大切です。

なお、教育訓練の実施については、以下のケースは除外されます。

・派遣元で同様の教育訓練をすでに実施した、または実施できる場合

・派遣スタッフがすでに必要な能力を有している場合

派遣料金の交渉に配慮する

派遣スタッフへの給与は派遣元企業から支払われますが、その金額は派遣先企業が支払う派遣料金にも反映されます。派遣先企業は、派遣スタッフの待遇が改善されるよう配慮し、派遣料金の交渉に誠実に応じる必要があるでしょう。

 

交渉を完全拒否した場合や、派遣元企業からの正当な提示金額を下回る金額を設定した場合は、行政指導を受けるリスクがあるため注意が必要です。

派遣先管理台帳への項目追加

派遣先管理台帳に、以下の項目を追加する必要があります。

1.協定対象派遣労働者であるか否かの別

2.派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度

派遣元・派遣先企業が注意したいポイント

最後に、派遣元企業・派遣先企業がそれぞれ注意したいポイントを紹介します。

派遣元企業の注意点

派遣スタッフの待遇格差を放置していると、派遣スタッフから正当な待遇との差額を支払うよう損害賠償を請求される恐れがあるでしょう。あまりに悪質な場合は行政指導を受ける可能性もあり、待遇格差の是正に向けて真摯な対応が求められます。

 

なお、派遣スタッフの待遇を決める際は、派遣先で働く非正規雇用の従業員の待遇は考慮せず、あくまで正規雇用されている従業員と比較することが大切です。

派遣先企業の注意点

派遣先企業は、派遣スタッフのハンディキャップを理由として、教育訓練や福利厚生の実施について差別的な扱いをしてはなりません。また、従業員の賃金は、さまざまな要素を考慮して決定されます。そのため、雇用形態にかかわらず、同じような業務を担当していても、人によって賃金に差が生じるケースは少なくありません。

 

しかし、正規雇用と派遣スタッフの間に賃金差を設ける場合、その理由を合理的に説明することは困難です。もしも待遇の差を設ける場合は、専門家に監修を依頼することも視野に入れるとよいでしょう。

まとめ

同一労働同一賃金とは、同じ業務に従事している人には、同じ賃金が支払われるべきという考え方です。正規雇用と非正規雇用の不合理な待遇格差を是正するためのものであり、派遣スタッフにも適用されます。

 

同一労働同一賃金を実現するためには、派遣元企業と派遣先企業の協力が不可欠です。それぞれに求められる対応を把握したうえで、派遣スタッフの待遇格差の是正に取り組んでいきましょう。

 

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この記事の著者

takenoi

「派遣のミカタ」事業内で営業事務やライティング作業を担当しております。

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