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派遣法 2024年06月08日
【人材派遣会社の設立要件を解説】許可取得の流れや必要な書類は?期間や費用は?
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人材派遣会社が「労働者派遣事業」を行うためには、労働者派遣事業の許可を得る必要があります。
かつては、労働者派遣事業は、「一般労働者派遣事業」と「特定労働者派遣事業」の2つに分けられており、前者のみ許可が必要でしたが、平成27年派遣法改正によって、上記のような2分類は廃止され、全ての労働者派遣事業について許可が必要となっています。
労働者派遣事業の許可を得るためには、欠格事由や許可基準が細かく定められ、必要書類や規程の整備も必要です。また、そもそも「労働者派遣」の仕組み自体が分かりにくいところもあります。
そこで、本記事では、人材派遣会社が労働者派遣事業の許可を得るために必要なことや書類、そして許可を得るまでの期間や費用等について解説します。
目次
許可が必要となる「労働者派遣」とは?他の人材サービスとの違いは?
(1)許可が必要な「労働者派遣」とは何か
派遣法では、労働者派遣事業を行うには、厚生労働大臣の許可が必要とされています(派遣法第5条第1項)。
ここでの「労働者派遣」とは、派遣法第2条第1号では下記のように定義されています。
自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする。
上記の定義規定は少し分かりにくいので、労働者派遣の定義を整理すると、下記のようになります。
(1)派遣会社の労働者であること
(2)派遣先の指揮命令を受けて派遣先のために労働に従事すること
(3)派遣先との間には雇用関係がないこと
(2)他の人材サービスとの違い
「労働者派遣」の定義は、上記のとおりですが、労働者派遣とよく似た制度と比較すると、その内容がよりよく見えてきます。
・労働者供給との違い
労働者派遣を理解するうえで一番重要なのは、職業安定法に定められている「労働者供給」との関係です。
職業安定法では、「労働者供給事業」は原則として禁止されています(第44条)。ここでの「労働者供給」とは、「供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい、(中略)労働者派遣に該当するものを含まないものとする」と定められています。
この図のとおり、「労働者供給」は広い概念であり、「労働者派遣」は「労働者供給」の一類型ですが、雇用契約関係が派遣会社とだけにあり、契約上の責任の所在が明確であることから、「労働者供給」の一部を許可制の下で許容したのが派遣法ということになります(職業安定法第47条の2参照)。
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・出向との違い
次に、「出向」との違いを見てみます。
出向については、法律上定義したものはないものの、一般には「出向元企業と出向先企業との間の出向契約によって、 労働者が出向元企業と出向先企業の両方と雇用契約を結び、出向先企業に 一定期間継続して勤務すること」を指すとされています。
この図のとおり、出向の場合は、出向先との関係でも雇用契約関係があると考えられているため、労働者派遣ではないということになります(ただし、労働者供給との関係は問題になりますが、本記事では省略します)。
・人材紹介との違い
次に、人材紹介との違いです。
人材紹介は、職業安定法上は「職業紹介」とされ、「求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすること」(職安法第4条第1号)を指すため、人材紹介(職業紹介)と労働者派遣は大きく異なります。
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労働者派遣事業許可取得の流れ
(1)労働者派遣事業許可の取得の流れ
労働者派遣事業の許可を取得するまでの流れを示すと、以下のような流れとなります。
(2)許可取得までの期間
上記のとおり申請から許可までは概ね2〜3ヶ月を要するとされています。
もっとも、後で述べる許可基準との関係では、事業所や規程、キャリアアップ計画の策定等の準備が必要になり、また派遣元責任者講習の受講も必要になりますので、一から準備をする場合には、半年程度はみておきましょう。
(3)費用
労働者派遣事業許可の申請に要する費用は、以下のとおりです。
- 収入印紙:12万円(一事業所あたり。二事業所目以降は、一事業所あたり5.5万円)
- 登録免許税:9万円
上記の他、実際には、社労士等の専門家に依頼することが多いため、その場合には社労士等専門家費用を要することになります。
派遣事業許可の取得の要件は?
派遣会社を設立し、実際に労働者派遣事業を行うためには、冒頭述べたとおり厚生労働大臣の許可が必要になります。
労働者派遣事業の許可を得るには、大きく、(1)欠格事由に該当しないこと、(2)許可基準を満たすことの2つが求められます。
この2点についての概要を紹介していきます。
(1)欠格事由(派遣法第6条)
派遣法に定める欠格事由の概要は、以下となります。
(a)禁固刑以上の刑に処せられて5年以上経過しない者(1号)
(b)労基法、最低賃金法等の一定の労働関係法令及び労働保険・社会保険法例の規定又は暴力団・暴力行為関係規程又は不法就労助長罪について罰金刑が課されて5年以上経過しない者(1号及び2号)
(c)成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ない者(3号)
(d)労働者派遣事業の許可を取り消されるなどし、当該取消の日から起算して5年を経過しない者及び法人の場合はその役員(4号〜7号)
(e)未成年であって、その法定代理人が上記(a)又は(b) の欠格事由に該当する場合(9号)
(f)暴力団関係者でないこと(8号、11号、12号)
(2)許可基準
次に、派遣法が定める許可基準は、以下となります。
(a)専ら特定の者に役務を提供することを目的とするものでないこと(「専ら派遣」の禁止)
(b)派遣労働者の雇用管理を適正に行う能力を有すること
(c)個人情報を適正に管理していること
(d)上記(b)、(c)のほかに当該事業を遂行するに足りる能力を有すること
以下、上記のうち(b)と(d)について詳しく見てみましょう。
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一般派遣の事業許可要件7つと要件の満たし方
雇用管理要件について(上記許可基準(b))
上記許可基準のうち、(b)「派遣労働者の雇用管理を適正に行う能力を有すること」については、省令でより細かな要件が定められています(派遣法施行規則第1条の5、告示(厚生労働省告示第391号))。
(1)派遣労働者のキャリア形成を支援する制度を有すること(第1号)
・派遣労働者のキャリア形成を念頭に置いた段階的かつ体系的な教育訓練の実施計画
a)キャリアコンサルティングの相談窓口の設置
b)キャリア形成を念頭に置いた派遣先の提供を行う手続の規定
c)教育訓練の時期・頻度・時間数等
d)教育訓練計画の周知等
(2)上記 a)の他、派遣労働者に係る雇用管理を適正に行うための体制が整備されていること(第2号)
- 派遣元責任者に関する判断
- 派遣元事業主が派遣労働者の福祉の増進を図ることが見込まれる等適正な雇用管理を期待し得るものであること
- 教育訓練に関する判断
事業遂行能力(上記許可基準(d))
上記許可基準の4つ目の事業遂行能力についても細かな要件が定まっており、労働者派遣事業を遂行するための資金的、場所的基盤等が判断されます。
(1)財産的基礎に関する判断(事業主(法人又は個人)単位で判断)
- 労働者派遣事業を行う事業所ごとに資産2,000万円以上を保有していること
- 当該2,000万円以上の基準資産額が負債の総額の7分の1以上であること
- 労働者派遣事業を行う事業所ごとに事業資金として自己名義の現金・預金の額が1500万円以上であること
(2)組織的基礎に関する判断
派遣労働者数に応じた派遣元責任者が配置される等組織体制が整備されるとともに、労働者派遣事業に係る指揮命令の系統が明確であり、指揮命令に混乱の生ずるものではないこと
(3) 事業所に関する判断
- 風俗営業や性風俗特殊営業等が密集する等、事業の運営に好ましくない位置を避けていること
- 労働者派遣事業に使用し得る面積が概ね20㎡以上あること
(4)適正な事業運営に関する判断
労働者派遣事業を当該事業以外の会員の獲得・組織の拡大・宣伝等、他の目的の手段として利用しないこと、登録に際し、いかなる名義であっても手数料に相当するものを徴収しないこと等、法の趣旨に沿った適切な事業運営を行うこと等
許可を取得しても派遣できない場合もある
(1)派遣禁止業務
さて、上記の欠格要件に当たらず、許可基準を満たす場合には、労働者派遣事業の許可を得ることができます。しかし、労働者派遣事業許可を得たとしても労働者派遣を行うことができない業務領域があり、派遣先もこの場合には、労働者派遣を受け入れてはならないとされています。
具体的には、以下の業務が派遣禁止業務とされています(派遣法第4条)。
- 港湾運送業務(第1号。なお、港湾運送については、労働者派遣法の下では禁止されていますが、別途港湾労働法において港湾労働者派遣事業制度が定められています。)
- 建設業務(第2号)
- 警備業務(第3号)
- 政令で定める業務(第4号。現状は、医療業務)
(2)上記以外の業務の制限
人事労務管理関係の業務のうち、派遣先において、団体交渉又は労使協定等のための労使協議の際に使用者側の直接当事者として行う業務
・弁護士、公認会計士、税理士の業務等、一定の専門職業務(主に士業)
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無許可での労働者派遣等に対する制裁
労働者派遣事業の許可を得ないで労働者派遣を行った場合や、虚偽その他不正の行為より労働者派遣事業の許可を得た場合には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
また、このことを知りながら、又は過失によって知らずに労働者派遣を受け入れた場合には、当該派遣先は、当該派遣労働者に対して直接雇用を申し込んだこととみなされ、派遣労働者がこれに応じた場合は直接雇用する義務を負います。
また、派遣禁止業務の場合も同様で、さらに許可の取消(第14条第1項第2号)、事業停止命令(第14条第2項)、改善命令(第49条第1項)がなされる可能性があります。
まとめ
これまで述べてきたとおり、労働者派遣事業の許可要件は細かく定められており、また、必要書類も多岐にわたり、事前に規程や計画の策定等が必要となります。
本記事では詳細に言及できない要件・書類等がありますので、労働者派遣事業の許可を申請するにあたっては、以下を参照しつつ、社労士等の専門家に相談することが望ましいでしょう。
・労働者派遣事業を適正に実施するために-許可・更新等手続マニュアル-(厚生労働省)
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