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派遣先企業の教育訓練が義務化!目的や訓練の実施形式について
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労働者派遣法の改正により、派遣先企業による派遣スタッフの教育訓練が義務化されました。しかし、いまだ教育訓練について整備されていない企業も多く、対応の遅れが課題となっている現場も少なくありません。
今回は、派遣先として派遣スタッフを受け入れている企業に向けて、教育訓練の目的や義務化された背景、実施形式などについて詳しくご紹介します。
派遣先企業の教育訓練が義務化されたのはなぜ?
2020年、派遣先企業の教育訓練が義務化されました。その理由は、派遣スタッフのスキルアップやキャリアアップを図るためです。
従来の労働者派遣法における教育訓練は配慮義務であり、必ずしもすべての派遣先企業が実施しなければならない制度ではありませんでした。派遣スタッフ本人が自主的にスキルアップやキャリアアップを図ることがほとんどであったのが事実です。
しかし、働く派遣スタッフのキャリア形成の観点上、上記のあり方は相応しくないといった考え方が重視されるようになりました。そして労働者派遣法が改正され「派遣先企業の義務」として制定されたのです。
派遣社員のキャリアアップ教育義務化!?2015年の派遣法改正について解説
派遣先企業に求められる教育訓練とは
派遣先企業に求められる教育訓練とは派遣スタッフ全員が対象で無償(かつ有給)で行われるキャリアアップに関する訓練のこと。
すべての派遣スタッフが対象となる教育訓練なので「一部の人材のみ」「特定の業務を担う派遣スタッフのみ」など、対象範囲を絞るのは法律違反となります。
また、実施する教育訓練の内容は、派遣スタッフのキャリアアップに関するものに限定しなければならないので、どのような訓練でもよいわけではありません。「現場で生かせる知識・技術を得られる」「今後の正社員化のために必要な能力を得られる」教育訓練が求められます。
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派遣先企業における教育訓練の実施形式
派遣先企業における教育訓練の実施形式として主に挙げられるのは「OJT」「集合研修」「eラーニング」などです。それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説していくので、自社で教育訓練を実施する際のヒントにしてみてください。
OJT
実務を通じて実践的なスキルや知識を習得するプログラムのこと。日々の業務のなかで、スキルアップを目指せます。
OJTは、別途で教育訓練のための時間を設ける必要がないうえ、業務経験を積みながら教育を受けられるので、双方の時間や手間の負担を軽減できるのです。
しかしOJTは、育成効果の差が派遣スタッフ間で生じやすいうえ、体系的な教育には不向きといえます。また、既存スタッフが業務をしながら派遣スタッフを教育しなければならないため、現場の負担が増えやすいです。
集合研修
複数の派遣スタッフが一堂に会して、座学での講義やグループディスカッションなどを行うプログラムのこと。
個々への研修が不要なので、派遣スタッフの人数が多い企業が導入しやすいのが魅力でしょう。また、一度に同じ教育を参加者全員が受けられたり、参加者同士で交流できたりする点もメリットです。
一方、教育効果が把握しにくいといったデメリットもあります。習熟度や理解度などがわかりにくいため、実施した集合研修がどの程度スキルアップにつながったのかが不明確となるケースもあります。
「必要に応じて習熟度合いをある程度把握できるようなテストを設ける」「理解が難しかった点、質問したいことなどのアンケートを取る」など、対策が必要となるでしょう。
eラーニング
コンピュータやモバイルデバイス、そしてインターネットを活用して、教育を進めるプログラムのこと。端末があればどこからでも教育訓練を受けられるため、派遣スタッフは自宅や移動中でも参加できます。おのおのが個人で教育を受けられるので、現場の負担も軽減しやすいです。
eラーニングは気軽に受けられるため「実技前の予備知識を学ぶ時間を確保しやすい」でしょう。また、難点になりがちな「その場で疑問を解消しにくい」という問題は、別途、質問用の窓口を設置すると解消可能です。
参加者自身が自主的に教育を受けるため「進行度に差が生じるのでは?」といった声もあります。その際は、期的に受講者へ声をかけて、学習の進捗を確認するとともに、無理のないタイミングでテストを実施して、モチベーションを維持できるようにするとよいでしょう。
さらに選ぶeラーニングサービスによって、コンテンツ数や内容は変わります。目的や要望に合ったサービスを導入する必要があるでしょう。
派遣先企業が知っておくべき教育訓練における注意点
派遣スタッフと契約を結んでいる企業に向けて、知っておくべき教育訓練における注意点を解説します。どのような注意点に配慮して教育訓練を実施する必要があるのか、以下を参考にしてみてください。
派遣スタッフへ訓練の内容を事前に周知する
派遣先企業が知っておくべき注意点としてまず挙げられるのが「どのような訓練を行うのか、事前に知らせておくこと」。そもそも教育訓練には、派遣スタッフによる参加の同意も必要となるので、無断で訓練を実施できません。
派遣先企業は、派遣スタッフに対する教育訓練の内容を事前にまとめておき、派遣スタッフの入社日や受け入れ時などに周知することが望ましいとされています。
派遣スタッフ側としても、事前に教育訓練の内容が共有されているほうが、不安なく参加しやすいうえ、おのおのが必要に応じて事前に準備・学習する場合も多いです。
教育訓練に万全の体制で臨んでもらうといった意味でも、事前の訓練内容の周知は必須といえるでしょう。
派遣先管理台帳への記入が必要
派遣先管理台帳とは、派遣スタッフの労働日や労働時間などを明確にまとめたもの。
派遣先企業が教育訓練を実施する際は、派遣元の事業主に教育訓練を実施した証明として、日時や内容などを派遣先管理台帳を通じて報告する必要があります。
万が一、派遣先管理台帳への記入が漏れてしまったり、事実と異なる内容を記入したりすると、30万円以下の罰金が科せられます。また、受け入れる派遣スタッフごとに派遣先管理台帳の作成および教育訓練内容の記入が必要となるので注意してください。
訓練費用は請求できない
教育訓練にかかる費用は原則、派遣スタッフに請求できません。基本、訓練は無償で派遣スタッフに提供し、なおかつ訓練を有給にするよう定められています。そのため、教育訓練にかかわる費用を、給与から差し引くのも認められていません。
ただし、派遣スタッフを斡旋している派遣企業によっては、自社で教育訓練を実施するケースもあります。その場合は、派遣先企業が費用を負担する必要がなくなるので、あらかじめ教育訓練の有無を確認しておくことを忘れないようにしましょう。
改正派遣労働法にもとづいた訓練を行う
派遣スタッフに対して教育訓練を行う場合、改正派遣労働法にもとづいた訓練内容であることが大前提です。派遣先企業で業務を遂行するにあたって、現場で必要と判断される訓練を吟味する必要があります。
現場で使う知識・技術について学ぶ機会を設けたり、eラーニングでスキルアップできる環境を整えたりするなど、必ず業務にかかわるもの、もしくはキャリアアップやスキルアップにつながる教育訓練を実施してください。
具体的な訓練内容を例として挙げると、製造関連であれば「作業員としての研修」、事務であれば「Officeソフトの研修」、IT関連であれば「プログラミング言語研修」などが該当します。
まとめ
労働派遣法の改正に伴い、派遣先企業は教育訓練に関する対応が必須となりました。しかし、まだまだ対応が進んでいない企業も少なく、早急な対応が求められている状況です。ぜひ本ページを参考にしながら、自社でできる教育訓練についてイメージしてみてはいかがでしょうか。
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